昨日の中日新聞で見かけた記事。
同じ県内でありながら、そんな状況があるなんて知らなかった。
確かに、エキノコックスが出たのは、この地域だったし
野犬、いるんだよね、とは聞いていましたが
こんな風にたくましく暮らしてる犬たちがいるんだな。。。
私にとっては結構衝撃的な話でしたが
知らなかった、と思うと同時に
これ以上の悲しい連鎖が起きないように、
切に願うばかりです。
◆知多半島で目立つ野犬 辻晃平(半田支局)◆
https://www.chunichi.co.jp/article/feature/newswotou/list/CK2018011402000193.html
記事はそのうちなくなってしまいそうなので
引用しておきます。
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2018年1月14日 紙面から
知多半島で目立つ野犬 辻晃平(半田支局)
この子は今何を考えているんだろう、と生き物を見るとよく思う。水族館の水槽で泳ぐ魚、子どもが捕まえたカマキリ、ペットショップのケージで服を着せられた犬…。もしかしたら何も考えていないかもしれないが、人間に飼われ、食住の環境が与えられているだけまだ幸せかもしれない。私が担当する愛知県の知多半島では、野生で生まれ育ち、人間におびえながら生き抜く野犬がたくさんいる。
「この辺りよく野犬が出るんですよ」
知多半島の中ほどにある阿久比町。人里離れた湿地に生えた、珍しいという白い花を撮影するための取材の道中、顔なじみの町役場職員から聞いた。
野犬? 今の時代に?と思ったが、後日「きょうちょうど一匹捕まったよ」との連絡をもらった。場所は牧場の敷地内だという。早速見に行ってみると、牛ふんの臭いが漂う中、かわいらしい、茶色の子犬がおりの中からおびえた様子でこちらを見ていた。
◆穴の中の巣で生活
野犬はどんな一生を送るのだろう。犬が引き取られた県動物保護管理センター知多支所長、成瀬正則さん(49)によると、穴を掘って作った巣や農機具小屋で生まれ、四、五匹の家族で群れているらしい。
ボスのような犬のほか、偵察部隊のような役割の犬もいて、昼に畑でひなたぼっこをしていることもある。えさは、牧場などにある牛用の飼料(麦茶やコーヒーのかす、もやしなどを混ぜ合わせたもの)のほか、カエル、トカゲ、ヤモリ、イモリ、ネズミなどの小動物を食べる。人間が加工したドッグフードを食べているイメージしかなかっただけに驚いた。食環境は恵まれたものとは言えない。
検便で爬虫(はちゅう)類由来の寄生虫が出ることもあり、皮膚や体内に病気を持っていることが多い。寿命は五~十年で、ペットの犬より短いようだ。
町内の牧場で働く男性(20)は「ほぼ毎日見る。牛の飼料を食べに来ているようだ。人を見ると逃げる。子犬二、三匹を連れた母犬と父犬の群れが多い」と話す。飼料にふんをされると牛が食べなくなるので困るというが、対策はとっていない。町役場から依頼されておりを置くこともあるという。
捕獲され、知多支所に収容された子犬たちは本当にかわいく、自分の周りの愛犬家が飼っている犬となんら変わりない。ただ、野生が長い犬は明らかに人間が近づいた時の態度が違う。おりの中で、入り口から最も遠い壁に背中をぴったりつけて警戒し、伏せた状態で目だけを動かしてこちらを見ている。よくよく考えれば、この警戒した状態こそが本来の犬の姿なのかもしれないが、人慣れしていない犬にとって、生まれてきたこの世界はこの上なく生きづらいだろう。
◆訓練し飼い主探す
牧場など、生息環境が整っている知多半島には野犬が多く、知多支所に連れて行かれた犬は年間百頭以上。驚くことに、それだけの頭数のほぼ100%に新しい飼い主が見つかっている。同県安城市にあるNPO法人「アニマルレスキューMiki Japan」(北村杏樹理事長)がいったん引き取り、人を完全に恐れているような犬でも施設内でトレーナーとボランティアが協力して教育し、飼い主を探して託しているからだ。
北村さんは「訓練は平均で半年間ぐらい。まずは、人間を信じてもらうよう、ごはんをあげたり、おやつをあげたりするところから少しずつ信頼関係を築いていく。野生の時期が長かった犬は警戒心が強いが、少しずつ慣れていく。法人として殺処分ゼロを目指しているので、難しい犬でも時間をかけてゆっくりと訓練していく」と話す。本当にありがたい存在だと思う。
同県みよし市の主婦、岩本千弥さん(44)は昨年夏、知多半島で捕獲された雌犬を生後八カ月で引き取った。名前は「ルビー」。家に来たばかりの時は警戒心が強く、家族が呼んでもケージから出てこなかったが、最近はだんだん慣れてきたそうだ。
野犬を引き取る場合は既に犬がいる方が、慣れが早いらしく「うちも、先にいた雌犬と姉妹のように仲良くしている。人間から積極的に仲良くしようとするのではなく、先の犬が人間と仲良くしているのを見せるようにし、だんだんルビーも人間を怖がらなくなった」という。
野犬は、生まれてきた時から穴の中。人間が住む世界で、人間におびえながら寒さや暑さ、病気と闘う。死ぬときもひっそりと目立たずに死ぬ。人間が犬を飼うようになって、無責任な飼い主が出てきた結果だと考えると、罪なことだ。
野犬の取材をして一番に思うのは、犬がかわいそうだということ。「犬を飼うなら責任をもって」ということに尽きる。悲しい一生を送るであろう野犬を増やさないために、世の飼い主たちにそう願わずにいられない。
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